ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

PPPPPP総評

 PPPPPPは全く悪くないんだけど、途中まで書いてた感想をさっき不注意で消してしまったので、キレながら書き直してる。

 

※以下、ネタバレ注意

ONE PIECE 第1076話『旧友』はこちら。

neoamakusa.hatenablog.com

週刊少年ジャンプ13号(令和5年)感想1はこちら。

neoamakusa.hatenablog.com

週刊少年ジャンプ13号(令和5年)感想2はこちら。

neoamakusa.hatenablog.com

【打ち切り】

 Twitter上の話題の多さでは人気に思えた今作だが、とうとう打ち切りの憂き目を見ることになってしまった。
 以前に比べると、かなり両者の距離感は近付いてきていると感じていたのだけれど、まだまだジャンプのメイン読者層とTwitterとでは乖離があるのだろう。

 アド先生のような旬の有名人が宣伝してもなお、大勢に影響は与えられないという意味では、ジャンプ独特のアンケシステムは健在のようだ。

 

【掲載順】

 連載当初と比べ、少し前まで掲載順やカラーの頻度などが持ち直していたにも関わらず、ここ最近は再び掲載順が下がっていた。
 とはいえ、「ミーミン編辺りまでは人気があったのに、ファンタ編でアンケが急落した」と断定することは危険だろう。
 あくまでも、ジャンプの掲載順は相対的なものに過ぎないからだ。

 つまり、「PPPPPPのアンケはずっと低空飛行で、今までは更に人気の無い漫画が打ち切られていたが、それが尽きたことでいよいよ白羽の矢が立った」ことも考えられるわけである。

 公式から実際のアンケの推移が発表されるまでは、「どこどこが悪かったせいで、アンケが落ちた」という話をするのは無意味と考える。

 

【よくわからん演奏表現】

 さて。

 私自身がこの漫画のことをどう思っていたかと言うと、
  全く、1ミリも刺さっていなかった
 思い返しても、1話たりとも面白いと感じた回が無かったように記憶している。

 最大の理由は、音楽マンガの肝と言える、ピアノの演奏表現である。
 聴衆が受ける感覚を抽象的に描くのではなく、実際に視覚的な幻想が見えている設定の面白さが、どうしても理解できなかったのだ。

 いやもしも、ピアノで生み出す幻覚を駆使する論理バトルに特化したぶっ飛び漫画だったならもっと楽しめたかもしれないが、この作品の根底にあるのは登場人物の情緒的な掘り下げと抽象的表現であり、この2つの要素がお互いを殺し合っていたように思う。

 

【倫理観】

 もう一つ受け入れられなかったのが、この漫画に通底する倫理観である。
 分かりやすいのがファンタ編の結末だ。

 かつては母親べったりだったファンタが、今はもう既に母から脱却して自身の道を歩んでいるというオチだったわけだが、私はこれを肯定的に捉えることがどうしても出来なかった。

 夫との力関係の結果とはいえ、自身を連れていかなかった事実から母親への想いを断ち切ろうとすること自体は別に否定しない。
 だが、それは、死に行く母親の最期に立ち会わない冷酷さを正当化するものでは決してないはずだ。

 いやむしろ、母を看取ることを頑なに拒否する態度は、私にはただの「逃避」としか思えなかった。
 未だ母に依存しているからこそ、そのような過剰反応になるのではないのか。

 ファンタの行動を肯定的に描き、むしろ兄弟達と母を最期に会わせようとしたラッキーこそが間違っているかのような展開は、あまりにも良識に反している。

 

【凡人ラッキー】

 というわけで、PPPPPPに何の思い入れも無い私からすれば蚊帳の外なのだが、この最終話に反感を覚えた読者も多いようだ。

 胎界主2部のラストのように、凡人ラッキーが奥底に押し込められ、他の人格が肉体の主導権を握るだけならまだしも、最終話の凡人ラッキーは、まるで人間味の無い、ただの「世間的な常識はこうだと警告するだけの装置」に堕していた
 ある意味、究極の尊厳凌辱であり、これまで凡人ラッキーに好意を抱いていた読者が憤るのは当然のことだ。

 もし、私がPPPPPPに対して何らかの思い入れがあれば、きっと怒り狂って罵詈雑言を並び立てていたことだろう。
 イヤミでも何でもなく、この漫画のことが好きじゃなくて、本当に良かったとホッとしている。

 

【次回作は】

 とはいえ、ジャンプのメイン読者層と合わなかっただけで、今作が一定層の読者を魅了したことや、他には見られない独創性を持っているのは間違いない。
 作者のマポロ先生はそう遠くない内にヒット作を飛ばすだろうという予感はしている。

 ただ、上記の通り、私は彼女の感性と致命的なまでに合っていないので、ジャンプで次回作を読みたいとは微塵も思わない。
 好きになれない漫画が人気になるストレスで、きっと死んでしまうだろう。

 願わくば、いずれ生まれるヒット作は、私の目の届かないどこかで掲載されますように。