ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

逆転裁判5 第5話『未来への逆転』感想

 黒幕の扱いはもう少しやりようがあったんじゃないかと思う。

逆転裁判5 第4話『星になった逆転』感想はこちら

※注意
以下、逆転裁判1~4、逆転検事1~2のネタバレが含まれています。
特に、逆転検事2はネタバレを食らうと面白さが半減するので、もし未プレイの方がいたら絶対に続きを読まないで、今すぐプレイしてきてください。

【分かり易い犯人】
 4話の最後で怪しんだ通り、やはり番刑事が犯人だった(正確には別人だけど)。
 もっとも、そのときの根拠は「心音は宇宙センターに行っていないのだから、ライターの指紋は偽装のはずで、そうなればライターを持ってきた番刑事が怪しい」というもので、実際にはココネは大河原宇宙センターに行っていたわけだが。

 プレイヤーに番刑事を疑わせないようにするためには、これはあまり良くない構成だったと思う。
 「事件当時、ココネが実は宇宙センターにいたこと」を後から明かしたせいで、番刑事に対する要らぬ疑惑を招いてしまったことになる。
 刑事がライターを法廷に持ってくる前に、ココネが宇宙センターにいたことをが分かっていれば、指紋を付けるチャンスは誰にでもあったとプレイヤーは認識するから、番刑事だけに疑いが向くことを防ぐことができたはずだ。

 もちろん、製作者としては4話の最後でいきなりココネが事件の容疑者となる展開でプレイヤーを驚かせるために、敢えてココネと事件現場との関係を伏せておいたのだろうとは思うが、その結果、最も重要な黒幕の正体に対する驚きを損なってしまっては意味がない。

 あらかじめ番刑事を疑った状態で5話をプレイすることになったので、真っ新な状態であれば見逃したかもしれない情報にも目が向くようになってしまった。
 具体的には、「番刑事がなぜか4階のカグヤに梯子を下すように言った」件。最初から番刑事を怪しんでいたせいで、この不自然な行動に目が留まり、犯人だという疑惑をますます深めてしまう。

 さらに、心音の母親である希月 真理の死体を発見したのが「二人の警官と職員」だと語られたのも不味かった。
 番刑事を疑っていた私は当然、「これは番 轟三の若い頃だな」と考え、この時点で7年前の犯人も彼だと確信してしまった。

 実際には、このとき亡霊は番 轟三とは別人に成りすましていたのだし、警官である必要はなかったと思う。
 当時の亡霊は大河原宇宙センターの職員に化けていたことにし、第一発見者の中に警官を入れていなければ、こうやって無駄に番刑事を疑わせる結果に終わることもなかっただろうに。

 
 ただ、実のところ私は、番刑事が最初に登場した時点でラスボスの候補として考えていたので、彼を疑うことになったのはそれも影響しているかもしれない。
 
 これまで逆転シリーズでは、 「検事(狩魔 豪、ゴドー)依頼人(王都楼 真悟)「弁護士(牙琉 霧人)「過去の事件の依頼人(猿代 草太)などがラスボスとなった。
 まだ使われていないラスボスの立場は「刑事」「裁判官」だから、茜ちゃんではなく新しい刑事を用意してきた時点で、「こいつがラスボスかもしれない」と考えたわけだ。
 
 突然、オドロキ君のヒロイン的な立場で登場した森澄しのぶのことも、同じくラスボス候補として疑っていたのだけど、彼女は「過去の事件の依頼人で、前作の逆転検事2と被るから、どちらかと言うと番刑事がラスボスという可能性が高いと見ていた。

 事件内容ではなく、そういうメタ視点で最初から怪しんでいたわけだから、必ずしもスタッフだけが悪かったとは言えないのかもしれないが、続編である以上、「今までのシリーズをプレイしてきた人間がラスボスについてどう推測するか」という視点を持つことは必要だろう。
 
 出番が多いキャラを裏切者とするのは、プレイヤーに与えられる衝撃が大きい分だけ予想もされやすいのだから、番刑事のような出ずっぱりのキャラをラスボスにするなら、もっと慎重に情報の出し方を精査すべきだったと思う。

 その辺り、逆転検事2は上手かった。 
 「一度救ったかつての依頼人という、逆転裁判をプレイしてきた者ほど盲点となるところを突き、登場頻度も少なかった(例えばもし猿代が今作の森澄並みに出番が多かったら、疑うプレイヤーは増えていただろう)から、直前まで、全く疑うことができなかった。

 また、白瀬 渡刑事や5話中盤の速水 ミキコのように、怪しげなキャラを出してミスリードするなどの工夫も凝らされている。
 今作も亡霊の候補となるようなキャラを何人か配置していれば、もう少し番刑事からプレイヤーの意識を逸らすことができたのではないか。

【ラスボスとしての魅力不足】
 犯人だということへの驚きは無かったとはいえ、快活で愚直な番刑事が実は悪党だという展開自体にはワクワクするものがあった……、の、だが。なぜ、「本物の番刑事ではない」などという設定にしてしまったんだろう。
 次々に顔を変えていくせいで、一人の敵を追い詰めていく快感も減じられていて、本当にこの変装設定は要らなかったと思う。普通に番刑事がスパイだった、で良かったのに。

 正体がプレイヤーに明かされた後も、いつもとあまり変わらない言動を演じていたのも悪役としてはよろしくない。
 王都楼や猿代、風見のように、本性を露わにし、こちらを煽ったり、ゲスな言葉を吐いてこそ、倒したときのカタルシスを得られるのだから。
 もちろん、ココネ達との対比として、「無感情」なラスボスをやりたかったのは分かるんだけど、その設定を維持しつつも、もっと悪役らしい言動をさせることはできたはず。

 スパイ七つ道具を使った剽軽なアクションも、シリアスな空気をぶち壊しにして気分が冷めてしまったし、「こいつを倒したい!」とプレイヤーに思わせる力に欠けていたんだよなあ。
 「馬鹿だけど、生真面目で思いやりのある番刑事が、実は悪党だった」という展開を全く活かせておらず、非常に勿体ないと思う。

【夕神 迅】
 ココネちゃんを庇い、罪を被って死刑すら受け入れようとした姿を見て、一気に好感度が上がった。
 それだけに、4話までの扱いが残念だ。

 結局、ユガミ検事が「なぜ、あれほど強引に被告人を有罪にしようとしていたのか」という設定が描かれることはなく、単に検事として無能で、真実を見る目が無かっただけということになってしまっている。
 そこはちゃんと理由を作っておくべきだろう。

 例えば、「かつては真実を明らかにしようとする優秀な検事だったが、長年の刑務所暮らしと、真理の死の真実を隠蔽している事実から自暴自棄になってしまい、真実を見ることをしなくなった」といった設定でもあれば全く印象が変わっていただろうに。

 ココネちゃんが助けたい相手がユガミ検事だというのも、2話の時点で明かしてしまえば良かったんじゃないかなあ。
 そのうえで、「ユガミ検事はかつては有能な検事だったが、今は自棄になっている」ということが語られたならば、ココネちゃんの救いたいという想いにも感情移入できるし、一層、ユガミ検事との絆に感動できたんじゃないかと思う。

 それと、ユガミ検事を起訴したのが御剣だという設定は正直、止めてほしかった。
 いくらユガミ自身が罪を認めていたとはいえ、逆転裁判逆転検事を経た御剣が、真実を明らかにすることができず、無実の人間を有罪にしてしまったというのは、ファンとしてはがっかりしてしまう。

【夕神 かぐや】
 この女は本当に不快だった。
 ロボットへの暴力もそうだし、ココネに対する醜い嫉妬丸出しの態度だとか、クズ行為が多すぎる。
 しかも、真実が明らかになった後も、ココネにこれまでの態度を詫びるどころか、最後まで彼女のことに言及することすらなく、唖然させられた。

 「本当はココネが真理を殺したのではないかと疑っていたが、真相を知り、これまで辛く当たったことを謝る」で良かったのに、何でこんなクズにしちゃったの?

 どうも真理に対して恋愛感情を抱いていて、彼女の愛情を独占していた娘に嫉妬していたようだったけど、そんなキャラクターに好感なんて持てません。
 どうしてこう、変なところで捻っちゃうかなあ……。

【その他】
・ダストシュートようやく捜索したのか。安定の無能警察。
・前日の夜に発射棟を入れ替えた? 犯人が爆弾を仕掛けるのがその後だったらどうする気だったんだ?
・見学スペースの方に爆弾を仕掛ける可能性もあっただろう。
・それ以前に爆弾を既に設置済みと考えてたのなら、入れ替えなんかより捜索をすべきじゃないの。
・ココネのヘッドホンにはそんな理由が。なんかコードギアスのマオみたいだな。
逆転検事2でも思ったけど、検事や刑事が取り調べのために面会室を使うのはおかしいよね。
・誰かの手だけが爆弾のリモコンを盗み出すのを目撃ってどんな状況だよ。
「あんなのオドロキさんらしくないよ。あんな、ちょっと影が合って格好いい感じ」
・自分も同じことを思っていたから今作のネタで一番面白かった。
「いつも必ずあの子がそばにいてくれた」
・マヨイちゃんのことなんだろうけど、いつもじゃない。2も3も偶にしか会ってなかったはず。
・春美ちゃんキター! けど一緒に行動はしないのか。
・まあ、5は必要最小限の場所しか調査ができないから、掛け合いはどっちにしろあんまり見られないけど。
・シリーズに共通する話だけど、1人殺して死刑になったり、ならなかったりと、量刑の基準がよく分からない。
・判決を覆すことは難しくても死刑の期日を伸ばすことならできるんじゃないの。
・まあユガミ検事本人が死刑を望んでるなら無理なのか。
・UR-1号事件の担当みっちゃんだったのか。また冤罪出しちゃったのね……。
・ココネちゃん、前日の夕方から昼まで失神って長すぎると思う。
・電話がガラケー……。しかも二つ折りできないやつ……。昔と変わってねえ!
・黒いサイコロック。4では単なるオサレ演出でしかなかったものを、ここで理由づけしてきたか。
・つまりガリューにも何かしら己の意思以外で封印しているトラウマ、記憶があると。
・おお、幼女ココネちゃんの病み表情ちょっと怖い。あんまり逆転裁判ではない感じ。
「カンガエルート」を初めて面白いと思った。
・眼帯でも顔認証が無効になるという話で、番刑事の色眼鏡のせいで認識できなかったのかと思った。
・監視カメラの映像に時間を書いていてほしかった。分かり難い。
・ポンコの証言で2時までは生きていたことが確認されたことになってるのに、その近辺の映像を全然調べてないのはさすがに無能すぎる。
・え、眼帯を付けたのはそんな理由だったんだ。
・ライターを調べる前に「みぬく」を挟んだせいで不自然な流れに。
・「みぬく」を証拠として認めないのは良いと思う。なぜか観念する証人が多かったからなあ。
・本当に潜入捜査官なのかということや、家族が人質になってるかどうかなんて調べればすぐわかると思うんだけど。
・ここまで来ても刑事のキャラがコメディタッチ過ぎて凄みがなくて微妙。
「妙な機械で証人を問い詰める」
・今更そんな正論を言わせるのか。
・ホシナリとかイチロのマスクを被る意味は……?
・撃たれて死亡。顔も分からない。ううん、つまらない幕引き。
・アウチ弟は兄と違って愛せないなあ。
・熊兵衛が本当に村長になっていたら不快でしょうがないから、嘘で良かった。
・アツメちゃんは可愛い。
・大河原所長、降格されたのか……。そんなに悪いことしていないから、少し可哀想。