ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

『十三機兵防衛圏』感想①

 比治山編プロローグクリアまでの感想。

【鞍部十郎】

 本作のメイン主人公……ってことで良いのかな。
 どうやら1985年視点では未来人であり、本来は和泉十郎という名前ながら、しかし投薬によって(?)記憶を消されて、昭和60年人として生きているらしい。

 すぐに他の登場人物視点に移ってしまったので、今のところこれくらいしか分からない。
 未来人なのに、記憶を消されて過去の世界で管理されながら生きてるとか、あまり見ないタイプの主人公ではある。

 どうも、消された記憶を「夢」という形で思い返しているものの、自身はそれを映画の記憶だと思い込んでいる(思い込まされている)のかな。
 それが未来の記憶消去技術に必ず伴う副作用だとすると、映画という趣味自体が、「管理者」達によって与えられた偽の人格かもしれない。
 つまり、夢でかつての記憶を見ても、映画の影響だと自ら考えるように、趣味が映画であると刷り込みを行っている、と。

 

【冬坂五百里】

 本作のメインヒロインなのかな。
 戦闘ターンでの台詞によると、鞍部のことを未来人だと認識するようになってるらしいけど、彼女は彼女で、後々の出来事を夢で見てるんだよね。
 だとすると、冬坂さんも昭和60年人と思わせておいて、実は鞍部と同じく記憶を消された未来人という可能性もありそう。

 メインヒロインっぽいが、関ヶ原瑛に一目惚れしており、鞍部にとっては寝取られの危機を初手から抱えている。
 もっとも、関ヶ原のことを思い返して「ドキドキする」を変に強調しているので、一目惚れと思わせて、実はもっと全然違う繋がりが……というオチになりそうな気もする。

 

【如月兎美】

 通称ウサミちゃん。
 スタッフ達もどっかの「目怖っ!」な探偵のことは意識してたと思うけど、それでもこのアダ名にしたかったのか。

 鞍部編ではリーゼントこと緒方稔二と付き合ってるんじゃないかと沢渡美和子に勘繰られていたけれど、それよりも過去の冬坂編では郷登蓮也と親密なのが語られている。
 郷登が未来人なのは戦闘ターンで分かっているから、本来は先輩であるはずの彼と付き合いが深そうなウサミも、おそらくは未来人なのだろう。

 というか、そもそも、ここまでの登場人物の大半が未来人だと思っているが。

 登場人物の男女比率的に、圧倒的なカップリングゲームになりそうな予感はしているんだけれど、今のところ冬坂とウサミちゃんの相手の男は微妙なところよね。

 

【網口と柴くん】

 不良っぽいと事前に解説されるも、そんなに不良ではない網口くんも、鞍部と同じ夢を見ていることから、彼もおそらく未来人なのだろう。

 一方の柴よ。
 てっきり、よくいる「メインキャラに比べて明らかに不細工な顔のただの親友キャラ」だと思っていたら、どうやら鞍部の監視役のような立場にいるらしい。
 記憶を消されていると思しき未来人が複数人いる中で、柴は特別な地位の人間なのだろう。

 

【比治山隆俊】

 ホームレス同然の暮らしをしており、髪は伸ばしっぱなしだが、髭は綺麗に沿っている日本軍人。
 惚れた女が実は未来人の男だったという、誰も経験したことのないような悲劇を味わった可哀そうな人物。
 絶対、焼きそばパン以外にも戦前より美味い飯はあるよ。

 敗戦から日本を救うために沖野司を過去に連れ戻すと口では言っているが、自分達を騙していた沖野の言葉を鵜呑みにして、死を偽装する彼の真の目的も聞かずに素直に協力している辺り、どう考えても愛国心ではなく、沖野司への恋愛感情が動機だと思う。

 まあしかし、恥じることはない、比治山くん。
 たしかに、沖野司に「何でも言うことを聞く」と言われたら、この私でもグラつくと思う。

 

【沖野司と関ヶ原瑛】

 「機兵を作った」ということは、沖野司が未来であのロボットを開発したのね。
 彼が大東亜戦争中の日本で暮らしていたのは、事故で故障した機兵を直す為だったようだが、そもそも機兵があの時代に出現したこと自体が「事故」だった(つまり、タイムスリップ上の事故)のか、機兵をあの時代に持ち込んだことは意図的でも、何らかの「事故」で動かなくなってしまった(純粋に機兵に関する事故)のか、どちらなのだろう。

 鞍部は比治山について、「あの時、沖野くんと一緒にいた」と言っていたが、これは未来での出来事かな。
 郷登との会話の中で、沖野は比治山に自分の存在を隠すよう指示していたが、それで誤魔化せるのなら、郷登は沖野を死んだと思い込んでいることになる。

 一方の関ヶ原は沖野を追って過去に飛んでいるわけで、一口に未来人と言っても、郷登と関ヶ原は別の思惑で行動しているか、そもそも全く違う時代の人間なのかな。

 

【セクター】

 ここまでの会話の中で、1985年の舞台を「セクター4」と呼称にしたのに対して、郷登は戦前の人間である比治山のことを、「セクター5の適合者」だと呼んでいるのよね。
 つまり、この「セクター」とは、時代の節々に名付けられた名称で、年代が過去の時点であるほど、大きな数字がつけられているのではなかろうか。

 そう考えると、鞍部が言っていた「この街をセクター3のようにはしない」という台詞は、昭和60年よりも未来のどこかに『セクター3』と呼ばれる時代があり、その時代では大規模な崩壊が起きてしまったのかもしれない。

 

【時間旅行】

 本作での歴史の捉え方はどうなんだろう。
 沖野たちの振る舞いを見る限り、過去に戻っても歴史が変わるようには思えないんだよね。

 むしろ沖野の「堂路博士が敷島の基礎を作ったのは、自分が未来の技術を教えたせいかも」という言葉からすると、あらかじめ未来は全て決まっていて、最初からタイムスリップも含めた歴史の結果が「今」ということになりそうだけど……。

 

【期待値】

 「主人公が実は記憶を消されて学生をやらされている」だとか、「実は未来人」だとか、「親友が実は監視者」だとか、「実は男だ」とか、本来ならそれぞれ大どんでん返しとして使われてそうな要素なのに、プロローグでそれらを全て明かしている辺りに、斬新な話を作ろうという姿勢が感じ取れて好印象。

 事前の印象から、『Ever17』や『シュタインズ・ゲート』のような作品だと想像しているのだが、あの辺りの伝説級ゲームに比肩するような内容を期待している。

 

【その他】

・初っ端からまだ避難もろくに住んでない街中に巨大ロボットを召喚するのは非人道的でしょと思ったけど、横スクロール時の何もかも理解してやってる風な様子に反して、実際には冬月さんは己の意志で機兵を出した訳ではないのね。
・グラフィックが限られてるからなんだろうけど、スカートの裾をサッとひらめかせて「start」(?)の文字を見せた冬月さんは、どう見ても機兵召喚に手馴れてるとしか思えなかったので、そこはもうちょい工夫して欲しかったところ。

・鞍部に投薬して操っている「管理者」の一人と思しき保健室の先生だけど、めっちゃエロいよね。いくら何でも揺れすぎでしょ。
・会話の中で保険医が鞍部に異常に接近した立ち絵では、目線がおっぱいを凝視してたけど、あれは仕方ないと思う。

・冬坂とウサミちゃんに挟まれた沢渡さんは、その……失礼なのですが……圧倒的に太くてビックリしてしまった。
・鞍部編ではそこまで感じなかったのだけれど、冬坂編では際立ってたよね。