どうやら決まってしまったようですね。
2020年最高の映画が。
【泣く】
泣くよねー。
ぼろぼろ泣いちまったよ。
しかも、二度泣きよ二度泣き。
映画を見ていて泣くこと自体が滅多に無いんだけど、中でも二度泣きは人生初かもしれない。
まず、丸山前社長のカレーで決壊。
来るよお、来る来る。
回想の中、監督が顔を拭う仕草がもうね。
かー。
無念さがこれでもかと伝わってくるんだわ。
辛い回想だっただけに、現在での社長の優しい声色が効くのなんのって。
書いてて思い出すだけでまた泣けてきた。ああ……。
【衰退】
あまりにも生々しかったよね。
傷ついたままの社用車。錆びついた標識。かすれた白線。
事は武蔵野アニメーションのみならず、アニメ業界、ひいては日本経済全体の閉塞感と止まらない衰退をそのまま描き出されている。
それが現実の日本の姿をそのまま反映しているだけに、視聴しながらどうしようもない無力感に苛まれ、ムサニの苦境を客観的に見るのではなく、自分自身の置かれている状況を重ね合わせ、感情移入することができた。
だからこそ、宮森とムサニが再び立ち上がる展開に、我が身のことのように胸が熱くなったんだよね。
上手いわあ。
あまりにも上手い。人の心の動かし方が。
【クライマックス】
くうう、これよこれ！！
いやー、まんまとしてやられたわ。
そりゃ思うよね。
「あれ？ これで終わり？」
「TV版のクライマックスと被ってる……」
「むしろ、TV版にはその後にズカちゃんの超感動シーンがあったんだけど……え？ 終わり……？」
「いや、悪くはないんだけどね。悪くはないんだけどさ……正直中盤が一番感動できたなあ……」
と、まさにそう思ったその時、私の心中をそのまま代弁するかのようなダビング後の登場人物達のセリフの数々。
ぐはああ、やられた！！
掌の上で踊らされていたんだと、そこでようやく気付かされるわけですよ。
ああ、もうこの瞬間の喜びといったら……。
ややの失望の念が一気に期待感へと変換されるあの総毛立つような感覚。
上手い！ なんて上手いんだと、私はこう言いたいわけですよ。
【劇中劇】
そうしてハードルを上げに上げた追加のクライマックス。
「俺達のアニメはこんなもんじゃないんだ」という真正面からの宣言を受けて、視聴者の期待値も最高潮。
面白い。では一体どんなクライマックスを見せてくれるんだと、本当にお前達に満足させることができるのかと、待ち受けるこの私。
超えてったよねー。
もう余裕で超えていったよねえ。高い高い、そのハードルをさ。
はっきり言うと、あの劇中劇、キャラデザといい、途中で漏れ聞こえる設定や展開といい、めちゃめちゃつまんなそうだったじゃん？
実際の映像も、ダサいキャラ達が、ダサい武器を使って戦うだけだったし。
凄まじいよね。
もうね、名前も忘れちゃったけど、あいつらの生き様、あがきにずっとハンカチで涙を拭ってたわ。
その戦闘シーンにさ、監督とみゃーもり以下、ムサニの面々のあの決意と情熱がちゃんと見えてくるんだよ。
たまらんわ、本当に。たまらん。あんなもん見せられたら、たまらん！！
泣くより他にしかたないわ、もう。
【TV版】
もともと私はSHIROBAKOが『ガングレイヴ』や『ガン×ソード』と並ぶくらい大好きでねえ。
あの1stガンダムを追い落として、私の中での人生ベスト3アニメに入ったのよ。
それだけに、抑えきれない期待と同時に、あの名作を台無しにされたらどうしようという不安感もあったんだけど……まったくの杞憂だった。
はあ、むしろ少しでも疑った自分が恥ずかしいよ。
何だろうな。
人生で好きな映画を聞かれた際、大抵私は『生きる』を挙げるんだけど、今なら同時に『SHIROBAKO』を挙げるかもしれない。
それくらい、心に響く名作だった。
最高だ。いい気分だ。
それぞれのキャラクターについてのことを筆頭に、まだまだ書きたい事も山ほどあるけど、別記事で書かないと、いつまで経っても書き終わらないからね。
今回は総評ということで、ここまでにしておこう。
TV版を見てこその内容でもあるから、特に他人にお勧めしたりはしないけど、私にとってはこれ以上ない傑作だった。
いやあ、早めに観に行って正解だったよ、ほんと。
