ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

【ONE PIECE】ジェルマ66と世界政府の関係とは?

 ドフラミンゴもそうだったけど、非常にややこしい背景を持ってそうな組織だなあ。

週刊少年ジャンプ23号 感想はこちら

※以下、ネタバレ注意
 表題とは関係がないが、ペコムズの「違うっ!! 『ジェルマ66』の船だ!!!」という台詞を、今の今までジェルマからの「麦わらの一味の船と見受ける」という問いかけへの返答、つまり、「麦わらの一味の船ではなく、ジェルマ66の船だ」と言ったのだと思っていた。

 ペコムズが咄嗟に機転を利かせて、「サンジとの縁を頼ってジェルマ66の傘下に入りに来た」と伝えることで、戦闘を回避しようとしたのだと解釈したのだけど、読み返してみると、どうも「ウチの偵察船(タルト)ではなくジェルマ66の船だ」という意味のようだ。
 
 たしかに、よくよく考えてみれば、ジェルマからの呼びかけは肉声ではないのに、ペコムズ側からは肉声が届くというのも妙な話だから、サニー号の仲間たちに向けた言葉と考えた方が自然ではあるのか。
 紛らわしいやり取りだったから、同じ勘違いをした人は結構いそうだ。

 
 そのジェルマからの呼びかけだが、サニー号の電伝虫と通信しているわけではないから、これは拡声器のようなものを使っていると考えるべきかな。
 形状からして、船そのものが巨大な電伝虫で、それを介した声なのかもしれない。


 彼らは一体どういう立場にあるんだろう。
 海軍の宿敵として絵物語に描かれていたことや、ビッグマムの傘下に加わろうとしていることだけならば、単なる裏社会の犯罪組織で終わりだが、そんな連中がどうして政府に干渉して、サンジの手配書を「生け捕りのみ」に変えさせられるのか、ということの説明はつかない。

 やはり、考えられるのは、既に世界政府とジェルマ66は敵対することを止め、癒着しているということかな。
 ヴィンスモーク家の名にブルックが背筋を寒くしていたことからすると、50年前は悪名を轟かせるくらいに派手に活動していたものの、政府と手打ちしたことで、表に出ることを止めたのかもしれない。


 しかし、未だにヴィンスモーク家が「人殺しの一族」と呼ばれ、ジェルマ66という武装組織を保持しているということは、現在でも戦闘行為は続けていることになるから、週刊少年ジャンプ10号 感想で書いたように、民間人の大量殺戮といった、海軍にはやらせたくない汚い仕事を請け負っているのではないか、と予想している。

 政府とジェルマ66が協力関係にある可能性が高い以上、世界経済新聞で連載された絵物語は、(ブルックが知っていたように)悪名が広まっていたジェルマ66を、「空想上の悪の軍隊」だとすることで、世間が「名前は知っているが現実には存在しない」と思い込むように仕向けた戦略なのだろう。

 数十年かけて「ジェルマ66とは空想上の存在なのだ」と思い込ませるプロパガンダを行う一方で、彼らに政府の汚れ仕事を遂行させる。
 そうなれば、どこかから情報が洩れて、「ジェルマ66が○○という悪行をやっていた」という噂が広まっても、(まさにナミがペコムズに向かって言い放ったように)「バカバカしい。ジェルマ66は空想上の軍隊だろ」で片付けられるようになるだろう。
 ジェルマ66の実在を主張する者は、「フィクションと現実を混同している痛い奴」扱いされているに違いない。


 ヴィンスモーク家当主である父親が、自身の手配書の内容を変えさせたことにサンジは驚いていなかったから、少なくともサンジが幼少の頃には既に、政府とジェルマはずぶずぶの関係にあったと思われる。

 ヴィンスモークが虐殺を生業とする一族で、サンジが「女は蹴ったらいかんもんだと、たたき込まれて育った」のがまだ実家にいた頃だとすれば、サンジを育てた人間はヴィンスモークの生き方とは正反対の教育をしていることになるから、やはり、その人物がサンジが一族を離れた原因となったのかもしれない。
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 世界政府とヴィンスモークが繋がっているのならば、サンジの手配書を変えさせた挙句、そのサンジを使ってビッグマムの傘下に入ることを政府に隠れてやるというのは、あまりに危険だから、週刊少年ジャンプ7号感想でも書いたように、これは「世界政府の指示」と考えた方が自然だろう。

 現在の四皇は、カイドウと黒ひげという好戦的な危険人物が二角を占めている。
 ビッグマムの興味が、基本的には縄張りからお菓子を集めることに向けられているとすれば、四皇の中ではシャンクスに次ぐ「穏健派」ということになるから、カイドウや黒ひげに集中するために、一時的に彼女と休戦したいと世界政府が考えても不思議ではない。

 ジェルマ66の任務は、そんな世界政府の思惑を受け、政府とビッグマムとの橋渡しをすることにあるのではないか、と私は推測している。