ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

灼眼のシャナIII -Final- 第1話 「失われた存在」

原作既読です。最終巻まだ読めてないんですけどね。

感想の形式としては、アニメだけの人の為に補完とか出来れば良いなあ、と仄かに思っています。

 さて。

 はっきり言って自分はシャナのアニメが大嫌いです。
 原作が大好きなだけに、あまりに酷い原作レイプっぷりが、もう、本当に我慢ならない。
 尺が足りないので、キャラの魅力を表現しきれていないのはまだ仕方ないとしても、改悪が酷すぎる。
 2期なんてストーリーに全く関係ないオリキャラを出して、ただでさえ足りない尺を1クール程も無駄遣いする改悪っぷり。
 もうスタッフが何を考えているのか理解できません。
 一体誰の責任であんな惨状を招いたのか。

 3期も見るかどうか迷ったのですが、原作ファンとしてやはり何だかんだと気になっちゃうんですよね。
 もしかしたら、3期は良くなっている可能性も無いではないですし。
 1話の時点でこれまでと同じ臭いがしていましたけど。

【坂井悠二】

 これ、アニメしか見てない人は全く理解できないだろ
 2期のラストでまたぞろオリジナル展開やったせいで訳が分からないことになってるなあ……。

 正直うろ覚えなんですが、2期では悠二消えたりしてませんでしたよね?
 どういう繋がりなんだこれ。

 原作では、クリスマスイプでの〝壊刃〟サブラクとの戦闘直後に悠二は失踪しているのですが、アニメだとその後にオリジナル展開が入ってたからなあ。

 とりあえず今のところは、悠二は〝祭礼の蛇〟という[仮装舞踏会(バル・マスケ)]の盟主の意識と一体化し、バルマスケに行ったということだけ分かっていればいいと思います。

 悠二の中にある『零時迷子』という宝具には、前の持ち主であるヨーハンの時にサブラクがとある自在式を打ち込んでおり、そこに祭礼の蛇の意思が流れ込んでいて、 こんなこと言っても、アニメしか見てない人には「パルスのファルシのルシがパージでコクーン」と一緒かもしれませんね……。
 この辺の説明はアニメでなされるのだろうか。

 まあ、そういう細かい設定の話はともかく、悠二がとある「願い」を持つまでの道のりがアニメではきちんと描写されていないので、祭礼の蛇と一体化したこともアニメ組は理解不能でしょうね、おそらく。

 機略に秀で、頭の回転が早いという悠二の設定も、描写が薄くて上滑りしてたしなあ。
 キャラクターの魅力がとことん発揮されてないアニメです。

 

【手紙】

 シャナと吉田さんが持っていた手紙は、クリスマスイブの日に彼女たちが悠二に送ったものです。
 内容は、想いの告白で、別々の場所で待っているので、想いを受け取った方のところに来てほしいというものです。

 サブラク戦後、どちらの想いに答えるか悠二が選択し、彼女のもとに向かおうとした瞬間、その選択がゆえに祭礼の蛇の意思が悠二に同一化を求め、それに彼は応えました
 サブラクがベルペオル(バルマスケの女参謀)に依頼されたことは、悠二の服のポケットに、バルマスケの本拠地へと悠二をテレポートさせる宝具を滑り込ませるというもので、原作では祭礼の蛇との合一と同時にバルマスケへと移動しました。
 サブラクがシャナ達と戦っていたのはそのついでに彼女らを始末できれば、というオマケ任務ですね。
 彼がシャナの攻撃を逃れ助かったのも、そのベルペオルの宝具のお陰なんですが、アニメでは説明もなく助かってましたね。

 そもそも悠二は既に人間ではなく、トーチ(正確には「中に宝具が入ったトーチ」であるミステス)という「本物の悠二」の〝存在の力〟の残り滓から作られたものでした(普通は一定の時間が経てば消えるところを、零時迷子が体へ転移していたおかげで生き延びていた)。
 トーチが〝存在の力〟を使い果たして消滅する時、『紅世の徒』に食われた人間と同じく、「そもそも最初からいなかった」ことになります。
 存在そのものが消滅するので、その人間の持ち物などあらゆる「彼がいた証」が消えてなくなり、紅世に関わった者以外の全ての人々の記憶からも抜け落ちます。

 クリスマスイブの日、シャナと吉田さんが自分たちのどちらのところにも悠二が来ていないことを知り、彼の部屋へと向かったところ、悠二の部屋にあった全てのものが無くなっていることを目撃します。
 そして、悠二の母、千草と話し、悠二のことを全く覚えていないことを知りました。
 トーチが消滅した時と同様の現象に彼女らは絶望しますが、次の日の朝、彼女らの家にそれぞれが悠二に送った手紙が届きます。

 通常ならば、この手紙も消滅していなければおかしい。
 もし手紙自体が消滅しないとしても、そこに書かれた「坂井悠二」という宛名は必ず消えているはず。

 しかし、手紙には彼の名前が書かれたままであり、しかも、わざわざ彼女たちの家に届けられた。
 シャナと吉田さんや仲間達は、このことを悠二が消滅していないことを表す唯一の希望として捉えました。
 悠二はバルマスケに誘拐されたものの、何らかの事情でまだ消滅はしていないのだ、と。

 ただ、バルマスケが悠二を未だ生かしておく理由は(シャナ達からすれば)見あたらないので、心のどこかで既に消滅したのでは、とも考えてはいますけどね。
 とはいえ、それならば、宛名の消滅を防ぎ、わざわざシャナと吉田に送り返す理由もないので、不可解ながらも悠二の生存を信じ、バルマスケの調査を進めている、というのが1話の現状ですね。

 クリスマスイブに悠二が失踪し、既に3学期が始まっているので、2週間ほど経っていることになります(原作では1月8日が新学期)。

 

【シャナ】

 原作には悠二が風呂に乱入するシーンなんてねえよ
 普通に考えて人が入浴中の風呂に入ってくるわけねえだろ。

 本来はここは脱衣所でのシーンで、

 

『もう不用意な用事で脱衣所に入ってこられることを警戒しなくてもいい。入浴中に洗面台で顔を洗う無神経さに文句を飛ばす手間も取られない。千草と一緒に、それらを後で言い咎め、とっちめる必要もなくなった。そんな、事々の自覚と、うそ寒い身軽さ』

 

 という描写になっています。

 視覚的に分かりやすいからなんでしょうけど、いちいち安易なんだよな演出が。

 千草からは悠二の記憶が失われているので、シャナと千草の関係は、「なぜか知り合い」ということになっています。
 それを疑問に思うことは、普通の人間には出来ません。

 

【吉田一美】

 あの弁当箱を取り落とすシーンは自分も完全に忘れてたわ。
 吉田さんは学校のある日は自分と悠二の為の弁当を作っていました。
 明日から通常事業が始まるというその日も、いつものように弁当を作ろうとして、無意識に悠二の分の弁当箱まで取り出したことに気がつき、近くの椅子に座り込んだ、というのが原作でのシーンですね。

 大晦日も正月も、新学期初日に悠二の席がなくなっていることを確認した時も崩れなかった彼女が、弁当箱はもう2つもいらないということに気づいた時に初めて崩れてしまった、というところなんですが、さすがにアニメじゃそういう細かい描写はできませんね。 これは仕方ない。
 ただ、アニメではどうも時期が悠二失踪の直後に改変されています。
 なので、原作では涙をこらえ、手紙の存在とシャナの言葉を信じ、悠二は生きていると自分を強く持つシーンだったのが、手紙の存在を知らない時点になっている為、普通に泣いていますね。

 シャナも悠二の部屋で泣いていましたが、原作では彼女が泣く描写はありません。 泣くなら悠二と再会してからにしようと決めていました。

 なんというか、1期や2期から思っていたことですが、アニメは妙な改変をするせいで、キャラ達の芯の強さが描かれず、魅力がかなり失われている……。

 吉田さんも本来はとても良いキャラなんですが、アニメ組にはただウザがられてるだけだもんなあ。
 たしかに、原作既読の自分でも2期の吉田さんはウザいと思ったくらいなんで、そりゃそうなりますよね。 なんだかなー。

 

【田中と佐藤】

 田中(目が細い方)は、とある戦闘の中で、緒方という彼に思いを寄せる少女が、炎に焼かれ砕ける様を目撃してしまいました。
 それ以来、紅世に関わることを恐れるようになってしまい、かつて慕っていたマージョリー・ドーのことも避けるようになりました。
 本人もそのことを情けなく思っているのですが、どうしても逃げてしまうという状況です。

 一方、佐藤は「マージョリーをの役に立つ男になりたい」という意志を貫き、悠二が失踪したことについても少しでも何かがしたくて、マージョリーの名代という名目で東京の「外界宿(アウトロー)」支部に行くことになりました。
 田中の前に現れ、そのことを話したのは、悩み惑っている友人に発破をかけにきたわけですね。

 

【外界宿(アウトロー)】

 外界宿とはフレイムヘイズの連絡組織です。
 元々、フレイムヘイズのほとんどは、身内などを紅世の徒に食われ、その憎しみからフレイムヘイズになり、仇を追い求める個人的な動機の復讐者なので、その性質上、他のフレイムヘイズとつるむことはほとんどありませんでした。
 ゆえに、かつては外界宿も情報を交換しあうくらいの場所でしかなかったわけです。

 そんな状況下、〝愁夢の吹き手〟ドレル・クーベリックというフレイムヘイズが200年ほど前に現れ、外界宿の改革に乗り出しました。
 彼はフレイムヘイズには珍しく(契約する『紅世の王』を呼び寄せるほどの憎悪を爆発させるのは若年者に多い)、老年になってからの契約者で(フレイムヘイズとしての年月は比較的短かった為「若い老人」と呼ばれていた)、人間社会での生活が長く、その経験をフレイムヘイズの世界に活かしました。
 外界宿を高度に組織化し運営に有能な人間を登用する等して効率化、『ドレル・パーティー』という大きな外界宿を作り上げました。

 フレイムヘイズ達に情報提供を行い、活動資金の管理するなど、この組織はフレイムヘイズにとって不可欠の存在となっていたのですが、バルマスケによって、ドレル含むこの組織の幕僚団『クーベリックのオーケストラ』が壊滅させられ、ドレル・パーティーは大混乱に陥ることになります。

 これは2期でチラッと(本当にチラッと)描かれていましたね。

 他にも『无窮の聞き手』ピエトロ・モンテヴェルディ率いる『モンテヴェルディのコーロ』という一団も潰されました。
 ここは、世界中を飛び回るフレイムヘイズ達の運行を管理していた部門で、これによりフレイムヘイズは効率的な交通手段を失いました。

 首脳陣を失ったこれらの状況下で、効率化の為に人間を組織の中枢に登用していたことが裏目に出ます。
 ドレル・クーベリックという指導者を失い、組織の主導権を巡って人間とフレイムヘイズが内紛を始めたのです。
 フレイムヘイズの理屈としては、あっさりと組織の首脳部を破壊された失敗を教訓として外界宿を今度は より戦闘的な組織としなければならないというものです。
 対して人間側は、頭の古いフレイムヘイズが組織を非効率的な体制に戻そうとしていることに反発し、強大な敵と戦うにはより組織を改革しなければならないと主張します。

 フレイムヘイズには実際に紅世の徒と戦っている戦闘者としての自負が、人間としては、世事に疎いフレイムヘイズに代わり組織を運営してきたという自負が、それぞれあったようです。

 ただ、フレイムヘイズも人間も、ただ罵り合うだけではなく、こういった騒動を収める為に臨時の指導者として『震威の結い手』ゾフィー・サバリッシュを招きました。
 彼女は、数百年前に起きたとある徒の組織との『大戦』で、フレイムヘイズ兵団を率い勝利に導いた人物です(この大きな戦いで、先代『炎髪灼眼の討ち手』が命を落としました。1期でチラッと描かれたかな?)。
 しかし、戦時には兵を引っ張る彼女でも、平時の組織運営に向いているかというとまた別の話です。
 しかも、彼女は元は中世の人間である為、現代の複雑化した組織には馴染まず隠居していた身でした。
 指導者を失い、バラバラとなった外界宿を建て直すことは、彼女をしても出来ていません。

 とまあ、3期1話時点でのフレイムヘイズ陣営はそんな状況です。
 バルマスケ参謀であるベルペオルは、行動決起の前段階として、フレイムヘイズ達の組織力を奪い、行動を鈍らせる目的で、各地の主要な外界宿と首脳陣を襲撃させたので、現状彼女の狙い通りとなっています。

 原作では『大戦』を外伝として一巻丸々使って描いているのですが、アニメではやっていません。
 なので、原作ではあったゾフィー・サバリッシュの描写もアニメではほぼ(全く?)無い状態ですので、いきなり新キャラとして出てくることになりそうですね。

 ドレル・クーベリックの話も、原作では番外編などでもう少し詳しく書かれたんですけどね(2期でやったマージョリーの過去話がそれに当たります)。

 また、今後のバルマスケとの戦いに出てくる2人のフレイムヘイズが主人公の外伝も、原作では3期1話の話の前の巻であったのですが(3期1話が16巻、外伝が15巻)、アニメでは果たしてやるんだろうか。

 『大戦』が描かれた外伝(原作10巻)もやらなかったので、今回もカットされる気がします。