ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

ベガパンクは何故クローバー博士が知っていた「ジョイボーイの祖国の国名」を知らなかったのか

 なかなか興味深い話をコメントで振られたので、記事にします。

【前置き】

neoamakusa.hatenablog.com

 この記事に対して、以下のようなコメントがついた。

ベガパンクシャカはオハラの全てを引き継いだと話しましたが、ベガパンクはクローバー博士が知っている巨大な王国の名前については知りませんでした
空白の100年の謎に関わる情報開示は終わったと貴方は断言しておりますが、なぜベガパンクは巨大な王国の説明の際に王国の名前を言えなかったのでしょうか?
それはDの一族と違って王国の名前を出したところで何の脅威もありません
既に滅亡しており、歴史に残らない謎の王国を一般教養として認知していないからです

また、ベガパンクは25年前にロジャーは処刑されたと話しておりますが、実際は24年前です
ルフィ17歳の時、ローグタウンでロジャーの処刑は22年前の出来事と作中でも説明されておりました
そして2年後ではルフィ19歳、つまり24年前となります
なぜこのような時系列のミスを尾田先生はしたのでしょうか?
具体的に説明してもらえると期待しております

 口の利き方は多少気になったものの、質問それ自体は確かに面白いものだったので、これに対して私は以下のように回答した。

>なぜベガパンクは巨大な王国の説明の際に王国の名前を言えなかったのでしょうか?

これは簡単な話で、単純にベガパンクが王国の名前を解明できなかったからでしょうね。
オハラの学者達は全ての文献を湖に放り込めたわけではありませんから、史料が足りなかったのかもしれませんし、あるいはオハラの集合知では解明できたことが、ベガパンク1人では無理だったのかもしれません。

>25年前

誤植でしょうね。
単行本で修正されると思います。

 だが、回答に納得がいかなかったようで、同じ人物からさらに続けて以下のコメントがあった。

>これは簡単な話で、単純にベガパンクが王国の名前を解明できなかったからでしょうね。

返信ありがとうございます。しかしそれならクローバー博士は「その王国の名は…」と王国の名前は解明されているので、ベガパンクが言えないのは不自然だと思います。文献にも王国について書いてあり、当時の世界政府が連合軍であったことがベガパンクは配信で言いましたが、戦った相手の国の名前は言えませんでした。明らかに話の筋が通っていません。例えばアメリカ人が歴史の授業でアメリカはある国と戦ったと子供たちに伝えたとします。当然子供達は何が敵なのか分からないから、話が見えてきません。国名すら分からない敵となぜアメリカは戦うことになったのかということに関心が向くでしょう。正直言ってベガパンクの演説内容を考えた作者の失敗だと思われても仕方ないですね。

 この時点で私はだいぶウンザリしていたものの、一応の礼儀として真摯に回答した。

まず、アメリカに例えてる時点で何も理解できていないと言わざるを得ません。

大前提として、空白の歴史に関しては世界政府の徹底的な検閲と規制を受けています。
アメリカの歴史の授業とはその点で全く違うんです。
彼らは戦った敵国について詳細に記しても当然罰せられませんが、ワンピ世界の人々は原則として「巨大な王国」について記すことが出来ないんですよ。
そんな何もかも書かれている書物があれば、オハラの学者達が苦労して研究する必要などありません。

オハラの学者達もベガパンクも、膨大な文献の中で、世界政府の目を逃れてきた断片的な記述等から、真実を浮かび上がらせる作業をしているわけです。

ジョイボーイの祖国の国名も、「連合国と戦った国」について書かれた文献ではなく、空白の100年の戦争とは無関係な文献の中に登場しており、情報を繋ぎ合わせることで、その国こそが連合国の敵国の名前だった、とオハラは導き出したのでしょう。

 この回答に対するコメントが以下である。

オハラの学者達もベガパンクも、
>膨大な文献の中で、世界政府の目を
>逃れてきた断片的な記述等から、真実を
>浮かび上がらせる作業をしているわけです。

では、なぜクローバー博士が巨大な王国の名前を知ることが出来てベガパンクには出来ないのですか?
それこそおかしいでしょう。クローバー博士は41巻でも王国の名前を出そうとして殺されました。
私がさっきから聞いているのはそれです、論点ずらしは良くないですよ?

 ここに至って私はこの人物のあまりの理解力の乏しさに絶望し、もう放っとこうかなとも思ったのだが、どうもこれと同様のレベルでベガパンクの演説にイチャモンを付けてる読者がいるようなので、啓蒙として記事にまとめておくことにした。

 

【「巨大な王国」の国名は禁忌】

 まず、上記のコメントを残した人物は、どうやら「巨大な王国=ジョイボーイの祖国」の存在自体を世界政府が抹消しようとしていたということと、数多の文献からオハラの学者達やベガパンクが歴史の真実を研究したという事実ををあまり理解できていないようだ。
 「世界政府(の前身たる連合国)とどこかの国が戦ったことを記述する文献が残されているのなら、その文献には当然、相手の国の名前が記されていないとおかしい」と思い込んでいる。

 だが、「連合国は〇〇という国と戦った」などとハッキリ書かれている文献が残されているのなら、そもそも世界中の考古学者が集まる必要も無く、そもそも800年の時間もかからずに、その文献を読むだけで歴史の真実の一端は明かされてしまう。

 そうやって何もかもが記されている文献が残されていないからこそ、オハラの学者達は苦労を重ねて研究し続けていたということを、まず理解する必要がある。

 

【すり合わせ】

 「連合国(世界政府の前身)と〇〇国が戦った」などと明記してある便利な文献は残されていない
 つまり、オハラの学者達やベガパンクは、世界政府の検閲を潜り抜けられる程度の細かな記述を繋ぎ合わせながら、真実に辿り着いたことになる。

 彼らが入手した文献の内容は分からないし、どこまでが文献から得た情報で、どこからがポーネグリフから得た情報かも分からない。

 いずれにせよ、オハラの学者達は入手した史料のいずれかで「連合国とどこかの国が戦争していた」事実を突き止め、更に別の文献に記されていた「〇〇という国」こそが、その連合国の敵国だと明らかにしたわけだ。

 即ち、「巨大な王国の名前」を記した文献は、連合国との戦い、空白の100年について記した文書では無いのだ。
 空白の100年とは無関係の内容の文献だからこそ、世界政府の目を逃れて現代まで残った。
 そして、オハラの学者達はその「『空白の100年』とは無関係の文献に名前の出て来た国」と、「連合国と戦った国」を、『その国の文化や風土や政体等への言及』や『言及されている年月日』等から、同一の国だと確定させたのである。

 

【ベガパンクが知らなかった理由】

 では、オハラの学者達が明らかにした「国名」を、彼らの研究を更に前に進めたと自負するベガパンクがなぜ知らなかったのか。
 可能性としては2通り考えられる。

 

①オハラが「巨大な王国」の国名を突き止める為に使用した文献は、運悪く湖に残されなかった。

②ベガパンク1人の頭脳では、オハラの学者達の集合知に敵わなかった。

 

 どちらもあり得る。
 オハラの学者達も全ての文献を湖に投げ込めたわけではない

 また、湖に投げ込めても、濡れたせいで解読不能となった文献もあるだろう。

 ①の場合、ベガパンクはオハラの学者達が研究した内容を知れなかったことになる。

 もう一つ、結局のところベガパンク1人の脳では大勢の優秀な学者には及ばなかった可能性もある。
 これが②だ。
 上記の通り、「ベガパンクの祖国の国名」は、空白の100年とは無関係の文献に登場したと考えられる。
 その文献をベガパンクは軽視し、「連合国と戦った巨大な王国」とは気付けなかったのかもしれない。

 ベガパンクにとって歴史学はあくまで門外漢である。
 彼がたった1人研究した内容が、オハラの学者達の集合知に敵わないというのは、むしろ自然と言えるだろう。

 

【コメントした方へ】

 いかがだろうか。
 ここまで詳細に書けば、さすがに理解してくれたことと思う。

 もし、これでもまだ理解できないのだとすると、私の手には負えないので、この記事を片手に別の誰かに聞いてみて欲しい。

 あと、次に生意気な口調でコメントしてきたら削除の上、アク禁にするのでそのつもりで。