2周目が空白の100年までの文明。
※以下、第1114話までのネタバレ注意
【太古の世界】
現在、ワンピース世界は800年前に一度滅んだ高度文明への道を(主にベガパンクが)「辿り直している」わけだが、この800年前までの世界もまた、更に大昔に存在した文明を「復興」させていたと考えている。
大昔の文明というのが、この月の都市ビルカの住民達の時代である。
注目したいのは、「太古に生きた」という文言だ。
ワンピース世界において『太古』とは、おもに恐竜の時代を指す言葉だが、その他にもニカが生きた時代が「太古」として語り継がれている。
つまり、月の都市ビルカの時代は、悪魔の実の能力のモデルではない、本物のニカが生きた時代に近いと考えられる。
空白の100年よりも更にもっと昔、高度な文明の中でニカが活躍した時代があったのだろう。
それこそが、ワンピース世界の「1周目」だ。
【宇宙への逃亡と衰退】
より正確に言えば、月の古代都市ビルカの住人は、地上に築かれた高度な文明が滅亡の危機に瀕し、宇宙へと脱出した人々の末裔だと睨んでいる。
その意味では、ニカが生きた時代よりは後の出来事だろう。
月に残された壁画には古代兵器らしきものが描かれており、普通に考えれば月の住人は古代兵器を製造できる程の科学力を持っていたはずだ。
だが、実際に月の住人達が作っていたロボットは、古代兵器の動力となる「永遠のエネルギー」どころか、マザーフレイムですらない、ただの電気で動いていた。
明らかに古代兵器を作った文明よりも劣化している。
ビルカの人々は地上で栄えた高度文明を捨てて月に逃れた結果、技術的にどんどん衰退していき、もはやかつての高度なエネルギーは再現できなくなっていたと見るべきだ。
一方で、古代兵器を所有していたらしいことを考えると、地上に彼ら以上の文明を持つ人間は残っていなかったと思われる。
「1周目」の高度文明は何らかの理由で滅び去り、その残滓が月の都市ビルカだったのだ。
【ルナーリア族による文明復興】
月の都市ビルカの住人は、資源不足のため地上に降りていった。
ルナーリア族、空島人、シャンディアなどの羽の生えた人々は、彼らの末裔と考えるのが自然だろう。
特にルナーリア族は自らの肉体に明らかな血統因子の操作を行っており、かつて彼らは「神」とすら呼称されていた。
以上の事実から私は、地上に降りたビルカの人々の一部が祖先の築いた高度な文明を復興させて、ルナーリア族となったと推測した。
この文明こそが「2周目」であり、ジョイボーイの産まれた時代だったのである。
【古代兵器製造は4000年以上前】
空白の100年よりも更に大昔に高度文明があったと考える根拠はもう一つある。
ネットでよく見かける考察の中に「ワンピース世界の王宮が高所にあるのは、海面上昇に備えるためだ」といった趣旨のものがあった。
私もこの説には賛成だ。
ここで問題になるのがアラバスタ王国の王宮である。
かの王宮は4000年前もの大昔に建造された。
上記の説が正しければ、「海面上昇の脅威」、即ち、それを発生させる古代兵器ウラヌスは4000年以上前から存在したことになる。
「1周目」の高度文明は少なくとも4000年以上前に築かれ、古代兵器が生み出された。
その一つであるウラヌスによって、ワンピース世界は大規模な海面上昇が引き起こされたのだろう。
現在の世界が島だらけなのは、4000年以上前のウラヌス使用によるものかもしれない。
以降、各国は万が一の危機に備え、王宮を高所に築くようになり、その理由が語り継がれなくなった現代でも「慣習」として残っているとすれば納得できる。
4000年以上前のウラヌス使用は大量破壊こそが目的で、海面上昇については、あるいは意図せぬ「副作用」だった可能性はある。
しかし、900年前から現在にかけて、イム様達は何らかの理由で意図的に海面上昇を引き起こそうと目論んでいる、というわけだ。