ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

進撃の巨人 第122話『二千年前の君から』感想

 どうやらエレンは巨人の力を無くすつもりのようで。

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第121話『未来の記憶』の感想はこちら。

neoamakusa.hatenablog.com

【始祖ユミル】

 まさかこんな人間だったとは……。

 巨人の力を手に入れて王として君臨したものと思っていたので、この少女が始祖ユミルだというのも信じてなかったのだけれど、力を得た後もずっと奴隷として生きていたのね。

 

 始祖ユミルの姿を座標で見ていただろうに、あれを「女の子らしい」「心優しい」と考えてたフリーダ姐さんは恐ろしいな女だな。

 生まれながらに奉仕される立場だったせいで違和感が無かったのだろうか。

 

【巨人の力】

 これが巨人学会の言う「有機生命体の起源」か。

 どういう経緯で巨人が9つに別れたのかとか、逆になぜ9つより先には増えなかったのかとか、なぜユミルの民が無垢の巨人となるようになったのか等々、謎は多々残っているけれど、どうやらこれ以上の解説は無さそう。

 無垢の巨人に関しては、時のフリッツ王が巨人の力を使える人間を増やそうとして民の体を作り換えたのかもしれない。

 

【ユミルの民と王家の血】

 おそらく始祖ユミルの血が混じっている人間がユミルの民なんだろうけど、だとしたら王家の血とはいったい。

 元を辿ればユミルの民全員が始祖ユミルと初代フリッツ王の血を継いでいるんだから、全員王家の血筋と言えるんじゃないの?

 

 あ、いやそうか。

 始祖の巨人の力を使える条件である「王家の血筋」判定は始祖ユミルが行っているってことなのかな。

 当代のフリッツ王にある程度血が近いユミルの民を「王家の血」として扱っているわけか。

 初代王の意向に従って、「フリッツ王家」の者だけが始祖の力を使えるよう、始祖ユミルが王家判定して範囲を絞ってるんだろうな。

 

 実際、始祖ユミルの意志でエレンに始祖の力が渡ったようだし、法則があるのではなく、彼女が勝手に始祖の使用者を決めていただけか。

 

【この世を終わらせる】

 結論から言うとこれは単なる誇張表現、勢い余って言い過ぎただけだろう。

 ここまでの言動を見ても、エレンが世界の滅亡なんかを望んでいるわけがない。

 胎界主で言う「世界の完結」のようなもので、この世界を大きく変えることを意味していると考えられる。

 

 ずばり、それは「ユミルの民から巨人化能力を無くす」ことだ。

 これならば始祖ユミルも解放され、長期的に見れば普通の人間となったユミルの民と他民族との和解も進んでいくだろうし、ハンジさんが懸念していた「始祖の力の継承を今後も王族に強制し続けるのか」という問題も解決する

 

【カール・フリッツ】

 「そんな事が可能ならカール・フリッツ王が既にやっているはずだ」と思われた方もいるかもしれないが、彼が望んでいたのはあくまでもユミルの民の絶滅だ。

 他民族への『贖罪』の為にエルディア人が滅ぶ必要があるという妄想に憑りつかれており、巨人の力を無くして和解を、などとは考えもしなかっただろう。

 

 とはいえ、単にユミルの民を絶滅させるだけなら、巨人の力を奪った方が効率は良いはずだ。

 だが、カール・フリッツにはそれができない事情があった。

 なぜか。

 

 しばらくの間、楽園で穏やかな余生を送りたかったからである。

 巨人の力が無くなってしまえば、すぐに各国はパラディ島に攻め込んできただろう。

 それでは駄目なのだ。

 

 ユミルの民は贖罪の為に地獄を見るべきだ。

 地獄を見るべきだ、が……自分の世代は穏やかに暮らしたい犠牲となるのは子孫であってほしい

 

 カール・フリッツのこの腐った精神からは、巨人化の力を無くすなどという発想は生まれてくるはずがない。

 

【ジーク・イェーガー】

 ジークに関しても同じことが言える。

 収容区で育った彼にとってエルディア人の問題はもはや巨人化の力を無くせば済むというものではない。

 エルディア人が世界から憎まれているのはこれまでの歴史が原因であり、巨人化できなくなろうとも、その歴史が消えるわけではない。

 ジークからすれば、憎悪の歴史を終わらせるには、エルディア人を安楽死させるしかないのだ。

 

 そして、安楽死を目的としている以上、巨人の力を失うわけにはいかない

 エルディア人が滅亡までの間に安息を得るための担保となるのが巨人だからだ。

 

 巨人こそがエルディア帝国の国力に等しい。

 歴代の王たちもそれを捨てるなど考えもしなかったはずだ。

 それをエレンがやろうとしている。

 

【恐ろしいこと】

 しかしながら、いま巨人化の力を失えば、エルディア王国は間違いなく各国に滅ぼされる。

 そこでエレンが選んだ答えこそが、グリシャの見た「恐ろしいこと」なのだろう。

 つまりは、各国の徹底的な破壊である。

 

 前回の感想でも書いたように、パラディ島に攻め込むことなど到底出来ない程に、各国の軍事力、技術力、そして人材を根本から駆逐する

 各国の国力をパラディ島並み、いやそれ以下にまで毀損して、『地鳴らし』無しでもエルディア王国が優位に立てるようにするのだ。

 

 エルディア王国以外の世界を荒野に変える。

 これこそがエレンの言う「この世を終わらせる」という言葉の真意なのだろう。

 

【エレンの子供】

 これでエレンがヒストリアとの子供に対して「お前は自由だ」と語ることになるのも納得。

 巨人の力が無くなったのなら、王家の者が始祖の巨人を継ぐ宿命も終わりとなる。

 我が子に短命を押し付けなくて良くなるのだ。

 

 なるほど、エレンは生まれてくる子供の為にも、巨人の力を消す選択をしたわけか。