ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

『007 スペクター』感想

 スカイフォールが傑作だっただけに期待していたんだけど、いまひとつだったなあ……。
 100点満点で65点。

 ※以下ネタバレ注意
 スペクターという悪の組織の規模の割に、ボスのエルンスト・スタヴロ・ブロフェルドことオーベルハウザーがちょっと小物過ぎる。
 パパが愛情を向けていた養子のことを恨んで、いい年したオッサン(というか初老)になってもネチネチとイビるとかどんな悪のボスだよ……。

 何よりも、動機含めてキャラクターが前作のシルヴァと被ってるのがなあ。
 シルヴァの場合は最初からMI6への怨恨が犯行の理由というのが感じられたし、語られた過去も壮絶だったから、あの憎悪も理解できたのだけれど、シルヴァに比べてオーベルハウザーは色々と残念すぎた。
 
 世界的犯罪結社の首領がボンドの(義理とはいえ)親族というだけで一気に世界が小さくなった印象なのに、少年時代のことを根に持って、無駄に手が込んでる割につまらない嫌がらせで自滅していく姿には何の魅力も感じられない。
 しかも、そのボンドに対する恨みも逆恨みと言っていいようなあまりにしょうもない話で、シルヴァのボスであるにも関わらず、何から何まで「劣化版シルヴァ」としか思えなかった。
 「それも私だ」と言わんばかりのオーベルハウザーの黒幕っぷりも、唐突すぎてBLEACH藍染様のように感じてしまったし、キャラクターが肩書に負けていたという印象だ。

 ただ、スカイフォールを観て、「完全に私怨が動機なのに、なぜシルヴァにこれだけ多くの部下が従っているのだろう?」ということは疑問に思ったので、そこが回収された(スペクターの計画のためにMI6を失墜させることも兼ねていた)というのは良かったかな。

 
 本作のボンドガールは比較的登場機会が恵まれているのだけど、正直言ってあまりヒロインとして良かったとは言えない。
 銃の訓練を受けていて、要所要所でボンドを救ってはいたものの、そもそも彼女を連れて敵の本拠地に乗り込む理由づけが弱いから、「マドレーヌやるじゃん!」というよりは、ボンドが情けないという風に映ってしまった。
 それだけに、彼女を選択するラストにも何の感慨も抱けず、何ともやるせない感情でエンドロールを眺める羽目になった。


 蛇足ではあるが、今作の主題歌はスカイフォール程の名曲ではないためか、オープニングの演出はちょっとダサい。