ネオ天草のジャンプ感想日記

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大逆転裁判2 第5話『成歩堂龍ノ介の覺悟』感想

 とっくの昔にクリアしたのに感想が遅れに遅れた無礼、お許し願いたい。

大逆転裁判2 第5話『成歩堂龍ノ介の覺悟』中途感想はこちら

※以下、ネタバレ注意

 難産だった……。
 ここまで記事の完成がズルズル延びたのは何故かというと、「いまいちハマらなかったけど、書きたいことはいっぱいある」からなんだよね。

 モチベーションが上がらない割りに書きたいことが渋滞して中々筆が進まなかった。
 つーか前回の感想から8ヶ月て……。

【グレグソン刑事】
 いや、違うんですよ。
 だって、遺体の側に落ちていた赤髪のカツラを見たときに、龍ノ介と寿沙都さんが「あの色、見覚えがある」みたいなことを言ってたじゃないですか。

 んで、ホームズが自身の髪を赤毛にしたときに、デ・キルコとド・ジッコの2人に比べて、色が鮮やか過ぎるみたいなこと言ってたじゃないですか。

 そんな中で龍ノ介と寿沙都さんが「あの赤毛見覚えがある」ではなく、「あの色に見覚えがある」と言ってたので、「これは単なる赤毛のカツラなのではなく、ホームズの薬品による赤毛と同じ色なんだ!」と早とちりしてしまったのは、これは決して私だけが悪いとは言えないと思うんですよ。

 
 終盤までずっと「グレグソン刑事は生きており、死神の一味というのもデマカセ」だと信じていたから、他のプレイヤーよりもショックは大きかったかもしれない。


 もし、グレグソン刑事が本当に、「クリムト・バンジークス卿は『腐敗した貴族を殺して回るプロフェッサー』に殺された」と信じていたのだとしたら、その憎むべき犯罪者と同じことをするとは思えないので、おそらく彼も心のどこかでは「クリムト卿こそがプロフェッサーなのでは」と考えていたのだろう。
 彼が死神の一員になったのは、クリムトの遺志を継ぐ意味もあったのではないか。

 そう考えれば、亜双義玄真を犯人に仕立て上げたのは、「プロフェッサーだという確信があった」のではなく、「クリムト卿を殺害したのは玄真だという確信があった」からなのかもしれない。

【ハート・ヴォルテックス】
 なんというか、案の定の犯人ではあった。

 ただなあ……。どうも悪役としては「憎めなさ過ぎて」イマイチだったというのが正直な感想。

 犯罪組織のボスが陪審や裁判官を買収して無罪を勝ち取るなんてことが平気で罷り通っているような当時の未開な英国の中で、法の外から罰を下すという手段は、そんなに責める気になれないんだよね。

 永続的に「死神」を続けようとしていたわけではなく、司法大臣になることでもっと司法そのものを近代的に変えて、自分達が「死神」なんてやらなくても良い社会にしようとしていたようだし。

 例えば、厳徒局長の場合、犯罪者に対する憎悪から警察と検事局を意のままに操ろうとしていたことは、真相解明まではあまり表に出してこなかったから、「出世のために他人を犠牲にする悪役」として見られたんだけど、ヴォルテックス卿の操る『死神』は裁判前から法の網を逃れた極悪人を始末しているのが明かされていたからなあ。

 他人に手を汚させ、自身は安全地帯にいる酷さはあるとはいえ、玄真のことも危険を冒して約束通り逃がしてやろうとしたり(遺書が無ければどうだったか分かったものじゃないが)と、巻き込んだ他人のことも最低限の尊重はしている(※ただし、ミテルモンを除く)。
 また、「死神」の権威に傷が付こうとも、本当に無実だった夏目漱石ジーナちゃんには手を出そうとはしなかった(まあ、グレグソン刑事らの協力が得られないというのもあるだろうけど)。

 対して厳徒局長は、宝月巴を自由に操る為だけに、正義感に溢れる真面目な検事だった罪門直斗を躊躇なく殺害したりと、完全に外道に堕ちており、「悪党に裁きを与える」以上の犠牲を出すまでになっていた。
 だからこそ、悪党として倒すことにカタルシスがあったわけだ。

 思うに、ヴォルテックス卿は出番が多すぎたんじゃないかな。
 会議に大幅に遅れたりだとか、自分が司法長官に就くべき理由を延々と語り出したりだとか、タクシュー節の面白さも相まって、あまりにも愛嬌があり過ぎた。

 5話近くなってポットディーノな登場をした方が悪役としては憎めた気がする。

【プロフェッサーとは何ぞや】
 これや! 

 大逆転裁判において一番納得できないのがこれ!!
 結局、メグンダルが合言葉に「プロフェッサー」を選んだ理由は何だったんだよ!

 この件で考察を引っかきまわされただけに、完全スルーなのはちょっと許しがたいですわ。

 敢えて考えるとするなら、メグンダルはプロフェッサーに関わる情報を掴んでいて、それでヴォルテックス卿を脅して裁判で無罪をもぎ取ったとかかなあ。
 合言葉にしたのは、質屋に預けていることを万が一警察に嗅ぎ付けられたときに、「俺はプロフェッサーのことを知っているぞ」とアピールするためとか。

 
 そもそも、かの連続殺人犯が何故『プロフェッサー』と呼ばれていたかも明かされないままなんだよね。
 ……穿ちすぎなのかもしれないけど、1から2の間に設定が変わったんじゃないだろうか。

 要するに、1の時点ではプロフェッサーことモリアーティ教授を、メグンダルの背後にいる黒幕として登場させる予定だったものの、急遽予定を変更してモリアーティの存在を抹消し、代わりに連続殺人鬼の通り名にした、みたいな。

【慈獄政史郎】
 ジゴクさん、キャラ違いすぎない?
 
 正直、彼に関しても途中で設定が変わったんじゃないかと疑っている。
 まず、もともと1で「慈獄大臣」の名前が出たときの彼の役職は外務大臣ではなく、法務大臣であった。

 また、1の1話の裁判において亜内検事から裁判長に対して、「政府に逆らうのか」という趣旨の異議が申し立てられているが、まさに政府の重要閣僚である慈獄に対してこの台詞はおかしい。

 つまり、1の時点では「慈獄法務大臣」と「裁判長」は全くの別人だったけれど、それを2で同一人物ということにしたんじゃないかと。
 だからこそ、大臣と大審院の判事を兼務しているという無茶な設定になった気がする。

【その他】
・そもそも何でクリムト卿の殺害がプロフェッサーの犯行ということになったのか疑問だったんだけど、同一犯のものという証拠は特になかったのね……。
・検察側が同一犯ということにして、玄真がそれを認めただけか。

・指輪が意外とゴツくて笑ってしまった。バンジークス卿もさすがにおかしいと思えよ。
・更にその後、ナルホド君や証拠品ファイルの説明でも「ゴツイゴツイ」と言われてて余計に笑う。

第4話『ねじれた男と最後の挨拶』感想で、
>「こいつ、バンジークスだな」という会話があったということは
>悪漢共はバンジークスとして狙ったわけじゃない?
>単なる物取りだった?

 と書いたんだけど、なるほど、玄真を狙ったらたまたまバロックがいたという状況だったのか。

・ミテルモンさんの扱いだけ酷過ぎる。せめて解雇後の経済的援助でも約束してやれよ。
・亜双義文書のことでミテルモンさんに掴みかかるバリケード所長はクズだな。
・上からの命令だったということで多少は同情してたんだけど、これで所長に対する同情心も消え失せたわ。

・>「そして、この私の報告しなかった。立派な背任行為だな」
・部下に罪を押し付け人生を奪ったその口でまだそんな偉そうなことを言えるのか……。
・ミコトバ教授が世話になったという話で最初は善人枠にカウントしてたけど、完全に定まった。バリケード所長はクズだ。

・というかミテルモンさんを買収していれば、陰謀がバレることも無かったのに。
・ちょっとした経費をケチって計画を破綻させる典型か。

・>この名前、どこかで予感があった……。
・そうだね、大逆転裁判1で最初に登場した瞬間から予感はあったよ。

・5話の裁判、やってる間中ずっと「いや、どうせお前が黒幕なんやろ。白々しいな」という感覚が付きまとう。

・突然笑い出したヴォルテック卿、一気に小物っぽくなった。

・バスカビル家のことを隠したってことは、ホームズとミコトバはある程度知ってたのかなあ。

・ただ、ミコトバ教授は法廷での様子を見る限り真相に辿り着いてる感じではなかったけど。
・とはいえ、アイリスの出自を知ってるわけだから、『プロフェッサー』の正体がクリムトってところまでは辿り着いてそう。


・英国女王に真相を聞かせて鶴の一声で引っ繰り返す展開は逆転裁判4のセルフオマージュか。
・正直、法曹関係者の多くがヴォルテックス卿に賛同してる中で女王の独断でそれを覆す展開にはあんまカタルシスが無かった。
・結局、「たった一人の権限」で全てが決まるのかよと。



・何とも熱い展開……なんだけど、惜しむらくは「死神」がもっと、ガントのように道を見失った男だったり、狩魔豪のように自己の功績にしか興味がない人間だったり、あるいは一柳万才のような頭から爪先まで欲に取り憑かれた権力者だったら、もっと燃えられたんだけどね。

・どうせスッキリさせないのなら、クリムト卿を本気で尊敬していて、心から彼の遺志を継ごうとしていたキャラだったらもっと良かったのに。

・しかし、「上級検事」なら現代日本で言えばミっちゃんクラスというイメージなので、10年前はその程度の地位だったヴォルテックス卿に、あんな大掛かりな捏造ができたというのはやや解せない。

・まあでも、玄真さんもちょっとどうかと思うけどね……。
・留学生の分際で、そんな他国の微妙な問題に口を挟みますかね。

・いや、イーノック・ドレッバーの方を撃てば良かったんじゃないの。
・と思ったけど、コレを機に玄真を始末してしまおうと咄嗟にヴォルテックス卿が考えたのかな。

・マダム・ローザイクを始末しないあたり、中途半端と言うべきか、当時はそこまでの権力は無かったと言うべきか。

・慈獄は当初は予想できない程の小物でしたね……。
・全てを話さなかったのも、話さなければヴォルテックス卿に助けてもらえると考えたからか。

・倫敦の法曹関係者の手の平返しがクライン王国民を見てるようだった。

シャーロック・ホームズによる一条家ばりの謎技術。
・驚きの力技解決法だった。

・ホームズとアイリスとの親子の絆には感動しました。
ロリコンとか疑ってしまってごめんな、ホームズ。

ジーナさんはなあ……。やっぱもっとグリムソン刑事との絡みがほしかったよ。
・彼が死神だったことについてのコメントも聞きたかった。

・結局、大逆転裁判 第5話『語られない物語の冒險』陪審員のメイドと思しき人物が立体装置の写真に写っていたのは伏線でも何でも無かったのか……。

・顔が似てるだけで最初から何の関係もないのか、途中でシナリオが変更されただけか。