ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

大逆転裁判 第5話『語られない物語の冒險』感想

 探偵パートまでは凄く面白いと思ってたのに、法廷パート(特にクログレイが証言台に立ってから)があまりにも強引過ぎて、正直萎えてしまった。

 まあただ、エンディングの演出が良かったので、法廷で持った悪印象はだいぶ緩和されたかな。
 これは大逆転裁判2の高評価を知ってるからこその寛容さであって、1の発売当時プレイしてたら「我々の知るタクシューは死んだんだ……」と絶望したと思うけど。

大逆転裁判 第4話『吾輩と霧の夜の冒險』感想はこちら

※以下、ネタバレ注意

【キャラクター】
 寿沙都さんは私の中で逆転シリーズ最かわヒロインになったかもしれない(これまでは美雲ちゃんだった)。
 思い入れが強くて、屋根裏部屋でのお別れとか驚くくらいしんみりしてしまった。

 ホームズも4話までは傍若無人で気に入らないキャラだと思っていたのだが、アイリスやジーナちゃん、ハッチさん等にやり込められる姿が描かれたことで親しみやすさが出てきて、5話で一気に好きになれたかな。

 アイリスに関しては、私はなぜか1話の被害者が「ワトソン」だという名前だということに全く気付いていなかったので、最初に彼女が名乗ったときはてっきりFateのように、あのワトソンが幼女に改変されたんだとばかり思い込んでいた。

 総じてメインキャラ達はみんな魅力的だったなあ。
 彼らのお陰で探偵パートはプレイしていて凄く楽しかった。

ジーナ・レストレード嬢】

 大逆転裁判のBGMで彼女の専用曲が一番好き。

 とにかく可愛いかった。
 ここまで散々文句を言ってきた「貧困に喘ぐキャラをやたら出してくる」というのも、この時代の社会福祉の後進性を強調することで、彼女のスリという身の上にプレイヤーを同情させる為だったと考えれば許せるかな。

 彼女がナルホド君やアイリス達の信じるという言葉に応えて弁護を依頼したときには思わずこちらまで涙ぐんでしまった。



 ……ただ、一点彼女の証言で気になったことが。

 2ヶ月前のモルター氏殺害事件で、ジーナちゃんは本当に椅子の下の空間に潜んでいたと言ったが、裁判が始まったときその空間には御者の道具が入っていた

 そして、龍ノ介と寿沙都さんの調査によると、人が入れるような余裕は無かったはずだ。

 

 ゆえに、3話の時点で私はてっきりジーナちゃんは本当は椅子の下にいたわけではなく、だからこそ裁判中に道具が片づけられ、ジーナちゃんが事件当時そこにいたかのように偽装されたのだと考えていた。

 

 しかし、ジーナちゃんは実際に椅子の下に潜んでいたという。龍ノ介達の見立て以上に、彼女の身体が小さく、柔軟だったということなのだろうか。

 だが、彼女が本当に道具の隣に入ることができるのなら、わざわざ危険を冒して偽装工作片付ける意味はない。

 

 まさかとは思うが……、まさかジーナちゃんが実はド悪党とか……?

 

 この矛盾に説明をつけるには、ジーナちゃんが嘘を吐いていると考えるしかない。

 しかし、この期に及んでまだ彼女がナルホド君達に嘘を吐いているとなると、人格そのものを疑わざるを得ないだろう。

 

 もし、ジーナちゃんが実は黒幕だったなんて展開になったら、衝撃的なんてもんじゃないなあ。

 成歩堂夫妻やアイリスちゃんが人間不信になりそうだ。

 

 ……まあ、さすがに脚本のミスという可能性が高いかな。

 それとも私が思いもつかないような別の何かの伏線だったりするのだろうか。


【首席判事と『プロフェッサー』】

 というわけで、メグンダルの裁判について。

 そもそも御者の道具を片づけたり、天窓や床に偽の血痕を付着させたりしたのって誰なんだろう。

 2話の時点ではジーナちゃんの仕業だと思っていたんですが、この期に及んで証言していない以上、彼女が腹黒のド悪党でない限り別の人物がやったことなんだろうし。

 

 ヴォルテックス首席判事はメグンダルは無罪を確信していた=裁判中の偽装工作について知っていたことになるから、首席判事とメグンダルは共謀しており、彼の息がかかってる者が法廷係官の中にいて、そいつがやったのかな。



 当初はヴォルテックス卿こそが倫敦に巣食う犯罪組織のボスで、メグンダルはその構成員かとも思ったのだが、どうも首席判事は厳徒局長みたいに犯罪者を憎む(しかし小さな事件は軽視する)キャラっぽいなあ。


 

 などと考えていたのだが、倫敦警視庁が機密情報流出の犯人としてメグンダルを疑っていたという話と、グレグソン刑事がクログレイと取引している姿を見て得心がいった。
 おそらくは、逮捕された段階でメグンダルと英国政府が取引をして、無罪にする代わりに円盤を渡す手筈になった、といったところなんだろう。

 となるとやはり馬車に偽装工作をしたのは首席判事の息がかかった係官や刑事かな。


 そして、メグンダルは「プロフェッサー(モリアーティ教授)」の手の者だろうから、大逆転裁判2のラスボスはモリアーティその人になりそうだ。

【ルバート・クログレイ】
 その生い立ちといい、何かだんだん彼が哀れになってきて上手く楽しめなかった……。

 逆転裁判で悪党が哀れに見えてくるって一番ダメなのでは。
 
 殺人も偶発的なもので計画性というのものに欠けて、最初からクログレイは窮地に立たされている状態だったから、追い詰める快感があまり無かったんだよね。

 こんなことなら改めてメグンダルを追求する話の方が良かったなあ。

 

 クログレイがエンディングに登場したのには驚いた。

 真犯人がエンディングに出るのは初めてかな。


 彼に対しては哀れみの方が強いので、ハッチさんには気の毒だけど脱獄でもしてほしい(このままじゃ死刑になりそうだし)。



バロック・バンジークス卿】
 これまではライバル検事にしてはキャラが弱いくらいにしか思っていなかったのだが、この5話で大嫌いになった。


 これまでずっと言いがかりみたいな弁論でジーナちゃんに冤罪をふっかけようとしていたくせに、最後の最後で正義の味方みたいな面して美味しいところだけ持って行ったのが実に腹立たしい。

 クログレイやグレグソン刑事よりコイツの方がよほどムカつく。

 財力に物を言わせて善人面しながら罪を犯す悪党を許せないとか言いながら、くっそ怪しいクログレイの追求に全然乗ってこなかったしなあ。
 それよりもナルホド君(日本人)憎しが先に立ってるってことなんだろうけど。


 だとすれば、御剣やゴドーのように憎しみのあまり目が曇ってる検事として描けば良いのに、なぜ真実を追い求める検事に設定してしまったのか。
 どうにも中途半端なキャラで、全然魅力が感じられなかった。

 ダメージモーションが弱くて面白味に欠けるのもマイナス。
 ミっちゃんのように白目を剥けとまでは言わないが、せめて冷や汗をかかせるくらいはしても良かったんじゃないの。

【ご都合主義的裁判】

 今回はシナリオの粗がやけに目についてしまった。

 クログレイがジーナちゃんの外套に血痕が付いていることを証言し、その検査を弁護側が阻止しようとする件があった。
 だが、その外套は元々メグンダルの物だということはグレグソン刑事の証言で簡単に証明できるし、メグンダルは2か月前に人を刺殺してることも明らかになっているんだから、血痕の検査に反対するんじゃなくて正直に主張すれば良いだけでは……?

 

 この時点で盗みに入ったことが発覚しているクログレイの証言の信憑性なんて地に落ちているんだから、真っ向から反論すればこっちが有利のはず。
 そこに思い至らないナルホド君とアイリスには納得できなかった。

 

 一応、検査後にナルホド君もその主張をしてはいるのだが(もっと早く言え)、バンジークス卿の「メグンダルの無罪を主張していたのは弁護人だ」という謎の反論で潰されてしまった。

 待て待て待て!
 メグンダルが犯人だったってのはついさっきジーナちゃんの証言で明らかにされ、それを検察側も裁判長も認めたのだから、いくらナルホド君が弁護を担当していたからといって、それで「メグンダルが殺人を犯した」事実まで法廷から消えるってのはそれこそ筋違いだろう。

 

 2か月前の血痕だと証明できないからといって、2日前の血痕ってことになるのは意味不明だし、もし仮に外套の返り血がハッチのものだと認定されたとしても、「クログレイがハッチを撃ったときに着いた返り血」と反論すれば良いだけなんだから、到底決定的な証言にはなり得ない。

 
 そもそも、どう考えても実際に被害者を撃った拳銃を持っていたクログレイの方が怪しいのに、こんな証言通らんでしょうよ……。


 もう一つ納得できないのが、クログレイとグレグソン刑事の取引を追求しているときの流れ。
 取引の事実を立証できなければ、陪審が全員いきなり有罪の評決を出すという。


 いやいやいやいや! 何でそうなるの!?

 クログレイとグレグソン刑事の取引が証明できないとしても、ジーナの犯行の瞬間を目撃したという証言が虚偽で、しかも凶器の拳銃すら持っていなかった以上、有罪になんてなりようがないでしょうよ!

 

 陪審員がどいつもこいつもバカ過ぎて話にならない……。

 

 ここは逆転裁判でよくあったみたいに「このままでは依頼人の無罪判決は勝ち取れたとしても真犯人を逃してしまう」パターンで良いじゃん。
 マジでどうしたタクシュー……。

 

 ジーナちゃんが有罪になりかける状況を作るために、展開がむちゃくちゃになってるんだよなあ。

【その他】

・このゲーム変な動きする人が多いよね。ホームズにしろ夏目漱石しろクログレイにしろ。

逆転裁判5や6にはこんなにいなかったと思うけど、タクシューの趣味なのかな。

・そういやゴーストトリックでもカバネラ警部とかいたし。

 
立体装置の写真に写っていた少女って陪審員のメイド

・そういえば登場回数が多い陪審の中で彼女だけ特に意味のある活躍をしていないから、伏線なのかもしれない。

「ダメだよ! オトナなんて、みーんなウソつきなんだから!」

ナルホド君もう23歳なのに大人と見られてないのか……。

・というかジーナさんにしても17歳なんだから、この時代だと十分オトナにカウントされそうだけど。

 

・ここまでの話で私はこのゲームをクソゲー認定する寸前だったんですが、寿沙都さんが可愛すぎてなんかもう全部許せる気分になってきた。

・ナルホド君の学生服より着物の鑑定料が高かったときの「ふふん」とかもうね……。可愛すぎる。可愛い。


・合言葉の「プロフェッサー」ってやっぱモリアーティ教授に関係してるのかな。

・そういえば、ホームズが登場したってのにモリアーティが出てくる可能性については全く考えてもみなかったな……。

 

・的外れな推理のために政府の特別資金の存在を明かすホームズェ……。

・というか、何で倫敦警視庁はホームズのことをそんなに信頼してるんだろう。

 

・しかし、ホームズと推理中のナルホド君はちょっと腹立つくらいイキイキとしてるな。

 

・トンネルの推理はホント強引だったなあ……。

・まだらの蛇といい、単に原作のホームズの話と結びつけたかっただけなんだろうけど、正直あんま面白くないんですよね。

 

・いやいやいや! この狭い店でエッグ・ベネディクトさんがナルホド君達が来る前から店内にいたのに気づかれなかったってのは無理があるでしょ!

 

・寿沙都さんにしろ、アイリスちゃんにしろ、ジーナ嬢にしろ、このゲームは女の子がみんな可愛いくて、好感が持てるのも良いですね。

 ・ただしバレリーナ、テメェはダメだ。

 

・あの御者、そんな重要な話をあそこまでメグンダルが追い詰められた裁判でも証言しないどころか、全くおくびにも出さなかったのか……意外と大物である。悪い意味で。

 

「そもそもギニーとポンドってどれくらい価値に差があるんだ」と思ってググッたら、1ギニーが21シリングで、1ポンドが20シリングってなんだこの貨幣。

 

わざわざ寄り目なんてするの中学校以来ではなかろうか……。やや疲れた。

 

・これ、どうなんだろう……ホームズは30代で、アイリスはまだ10歳なんですよね。

普通に血の繋がっていない親代わりと見るべきなのか、何らかのカップリングと見て良いのか。

 

あー、アカン……。酔っているからか、ジーナさんから依頼を貰うときにマジ泣きしてしまった。

 

・グレグソン刑事のアイリスちゃんへの「お嬢様」呼びは心からの尊敬であってほしかったなあ。

「このガキに逆らうと不利益を被る」という利害関係から、アイリスちゃんへ謙ってるというのはイヤらしくて好感が持てない。

 

・何これ……屋根裏のお別れとか寿沙都さん可愛すぎませんかね……。

亜双儀と寿沙都さんは許嫁かと思ってたんだけど、別にそういう関係ではなかったのかな。

 

・なんかハート・ヴォルテックス首席判事が警察を指揮していますけど、1900年代の英国でもまだ裁判官と警察が一体化してたんだろうか。


・そういや1話の被害者がワトソンってこと、1話の時点でちゃんと情報開示されてたんですね……。

・ホームズが登場することは知ってたのに、ワトソンという名前を全く気にもとめなかった。

・そのせいで4話ではてっきりワトソンが幼女化したもんだとばかり。

 

・最終弁論が複数あるのはちょっとダルい……。その名称からしても、最後の最後、クライマックスの場面だけで起きるシステムにした方が良かったのでは。

 ・あと、ココロスコープのときのユガミ検事のように、最終弁論に口を出せないルールのせいでバンジークス検事の影が薄くなる問題が発生している。

 

・こういっちゃなんですが、裁判長が優秀過ぎてちょっと面白味に欠けるかな。

・とはいえ、陪審員ポンコツばっかりなので、裁判長までダメダメだったらさすがにバランスが崩壊するという判断も解りますけどね。

 

・ハッチさん良い人だなあ……。

回想のイケメンっぷりによって、何気に逆転シリーズでは千尋さんに次いで亡くなったのがショックな被害者になってきたかも。

・いや、亜双義くんも善人なんだけど、最初から死臭がプンプンだったので、あんまりショックはないからね。

 

「ぼくは、ココロのどこかで……こう思っていたんだ。『コイツも……本当は、ぼくを疑ってるんじゃないか』って」

ごめんよ、亜双義くん。私も第一印象では某自爆弁護士みたいに真犯人じゃないかと思ってたよ。

 

「良く知っているから信じられる」。

・至極もっともなんだけど、これまでの逆転裁判の弁護士観を根底から覆す発言なのでは。

よく知りもしない被告人の場合、今後ナルホド君はどうするんだろう。

 

親指の傷があるとかそんなことの前に、グレグソン刑事がクログレイを質屋で目撃してるんだから、彼に証言を求めれば良いのでは……。

・クログレイが銃を突き付けて連行されそうになってたことも、なぜグレグソン刑事に証言させないのか。

 

・一応推理ゲーなのに間違い探しとかさせないでほしい。

ぶっちゃけ、立体視で間違いを見つけるアイディア……面白くない……。

 

「追求」が流れるのがグレグソン刑事を追い詰めるときか……。4話といいタイミングが悉く間違ってませんかね。

・いや4話はまあ事件が事件なので仕方ないにしても、5話に関してはクログレイを追い込むときにしてほしかった。

・まあ、クログレイは最初からずっと追い込まれてるようなもんだからしょうがないけど。


・エンディングでバレリーナのその後が描かれなかったのも意外だったなあ。

・ロシアの革命家なんて出してきてるし、2で再登場させるってことなんだろうか。

・ナルホドが通り過ぎたときに俯いた演出も含めて今のままじゃ後味が悪いので、何らかの救済がほしいです。

 

・グレグソン刑事は結局そんなに重い罰は受けなかったのか。

ジーナちゃんを冤罪と知りながら有罪にしようとしてたけど、それでもアイリスお嬢様はちゃんと小説で活躍させてあげるんだな。

 



 さて、だいぶ時間がかかったが、ようやく大逆転裁判2に取り掛かれる。
 かなり評判が良いようだし、1はあくまでも前フリだと好意的に受け取って、前向きに進めことにしよう。

大逆転裁判2 第1話『弁護少女の覚醒と覚悟』感想
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