ネオ天草のジャンプ感想日記

ジャンプ感想を主に書いています。

黒炭カン十郎、心の底では光月家に仕えたがっている説【ONE PIECE考察】

 または「カン十郎、ワノ国編におけるプリンちゃん説」。

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第985話『新鬼ヶ島計画』の感想はこちら。

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【本心】 

 黒炭オロチに命じられ、心の壊れた「役者」として光月家に潜入していた黒炭カン十郎。

 その正体を明らかにし、モモの助を誘拐したわけであるが、私は彼が本当の心の内、自分でも意識できない深層心理では、光月家の家臣として生きたがっていると睨んでいる。

 

【遅い報告】

 そもそも最初からおかしかったのだ。

 カン十郎は内通者としてオロチ様に報告を行っていたのだから、光月一派が潜む拠点の場所を報告していれば、そこで勝負が決していたはずだ。

 にも関わらず、何故か彼は肝心かなめの情報を伏せたまま、決戦の日まで引き延ばした。

(この不自然な挙動のせいで、私は内通者の存在を最後まで否定していた)

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 更に、集合地点が刃武港から常影港に変更となったという(誤った)情報をカン十郎がオロチ様に報告したのは、何と錦えもんの発表から4日後のことである。

 これはもう、あり得ない遅れと言うしかない。

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 もっと言えば、ワノ国の者なら誰でも「ハト」と読める判じ絵を、錦えもんの言うがまま「トカゲ」だと信じてみせて、今なお錦えもんが「周到な男であったはずが無い」と言いながらも、他の赤鞘のように彼が本気でトカゲだと思い込んだ事に『気付いていない』のは、「最初から誤読の可能性を感じておきながら、敢えて常影港と報告した」とすら考えられる。

 まあ、錦えもんの言葉を鵜呑みにしたのは他の赤鞘も同じなんだけど……ゴニョゴニョ……。

 

【ラフテルの情報】

 カン十郎はオロチ様(を介したカイドウ)からラフテルについて問われて、おでん公から「何も聞いていない」と回答している。

 しかし、これもおかしな話だ。

 確かに、カン十郎はおでん公からは何も聞かされていないかもしれないが、ラフテルの場所を指し示すロード・ポーネグリフの一つが、モコモ公国に眠っている事を知っているのである。

 

 カイドウがワンピースについての情報を赤鞘から聞き出そうとしていることは、錦えもん達も把握していた。

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 それにも関わらず、カン十郎はロード・ポーネグリフについて沈黙を守り通した。

 再びゾウが襲撃を受ける事を危惧したからこそであろう。

 

【遅延行為】

 極めつけは、モモの助を拉致してからの行動だ。

 百獣海賊団の戦艦と海戦を繰り広げる連合軍を尻目に、カン十郎は鳥に乗って一足先に鬼ヶ島へと向かった。

 このまま行けば、オロチ様は万全の防衛体制を敷くよう命令し、光月派は島に上陸することすら難しくなったはずだ。

 

 しかし、実際にはカン十郎の報告はまたしても遅れに遅れた

 その理由について彼は、道に迷った事と、敵と間違われて戦闘していた事とを挙げていたが、そんなものは、出会った百獣海賊団かオロチ様の部下の誰かに自分は光月一派に潜入していたスパイであると名乗り、オロチ様に伝えるように頼めば回避できたはずだ。

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 集合地点変更の報告と同じく、ここでも明らかな遅延行為が見て取れる。

 

【モモの助を殴ったのは?】

 もう一つ、第985話にて新たに上記の内容を示唆するような描写があった。

 カン十郎は縄を切って逃げ出したモモの助を気絶する程殴りつけたと言っていたが、それを回想するコマでは殴っている人物だけシルエットになっている。

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 モモの助に手を出したのが本当にカン十郎だとしたら、この期に及んで彼の姿をシルエットにする必要などあるだろうか?

 

 そう、要するにこれはカン十郎ではない別人なのである。

 おそらくは、屋敷内にいたオロチ様の部下が、逃げ出したモモの助を捕まえ、殴りつけのだろう。

 

 カン十郎はオロチ様の許に参上した時、道中、向かってくる輩を全て斬り伏せたと語った。

 モモの助に狼藉を働いたこの人物を、カン十郎が怒りに任せて斬って捨てた事は想像に難くない。

 

【ワノ国のプリン】

 とはいえ、カン十郎による密告が、光月家に不利益を齎していることもまた事実だ。

 彼がオロチ様のスパイの「フリをしている」二重スパイという線は無いだろう。

 

 要するに、カン十郎は今、狭間で揺れ動いているのだ。

 オロチ様に命じられ、光月おでんに接近した当初はもちろん、本気で黒炭家に協力するつもりだったのだろう。

 

 だが、おでん公との出会いから彼の処刑までの20年にも及ぶ光月家での日々がカン十郎を変えてしまった

 『役者』として光月おでんの家臣を「演じている」だけのつもりが、いつの間にかそれこそが本当になっていたわけだ。

 

 しかし、それを自覚することは未だ出来ないでいる。

 シャーロット・プリンが本当の自分を押し殺して、醜い化け物だと思い込もうとしていたように、黒炭カン十郎もまた、己に「心の壊れた役者」を演じる事を強いて、本当の気持ちを底へ底へと押しやっているのである。

 

 「首をもがれて戦う武者」とは、赤鞘九人男のことなどではなく、自分を見失って闇の中でもがき続ける、カン十郎自身の心情を表しているのかもしれない。